結論
- 大学院を卒業しても就職先が増えるなんてことはないから
- 社会人デビューが2年遅れるにも関わらず、会社での給料はほんの少ししか上がらないために、生涯賃金が大幅に下がるから
- 大学はもちろん、大学院は研究者育成機関であり研究者になりたいと思っていないならただの時間の無駄であるから
- 転職活動においても大学・大学院名なんかではなく前の会社での実績とコミュニケーション能力の方がはるかに重要であるから
なんとなく大学院に進学すると確実に爆死します
本日はいかに大学院(特に修士卒)に進学する意味がないかを説明していこうと思います。
私自身、京都大学工学部を卒業した後、何も考えずになんとなく同大学の大学院に進学した身です。
一般的には以下の文部科学省のデータが示すように、全国的には大学院の進学率はだいたい理系学部は25〜45%ほどですが、高学歴になればなるほど大学院への進学率は跳ね上がっていきます。
自分が在籍していた京都大学工学部の大学院進学率は90%前後もあります。
もうここまでくると、大学院に進学するのが当たり前だと洗脳されてしまうのです。
周りの友人や家族、教授たちが全員、大学院に進学するのは当たり前という空気を醸し出してくるのです。
そんな環境に長年いたら、洗脳されてしまっても仕方がありません。
自分は2年間という時間と数百万円近くの学費を投資して大学院に通いましたが、何となく進学したためにほとんど何の恩恵も受けていないのが現状です。
京都大学の大学院でさえそうなのですから、他の大学院ではより進学する意味はなくなってくるでしょう。
だからこそ、今学部生でこれから大学院に進学する予定だという人は、本記事を読んで今一度大学院に本当に進学するべきなのかどうかを考えてほしい。
以下から、大学院に行く意味がないと思う理由を列挙していきます。
大学院を卒業しても就職先が増えるなんてことはないから
大学院に進学する意味がない理由の1つ目は、大学院に進学したからといって就職先が広がるわけではないからです。
正直にいうと、修士課程の場合、博士課程とは違って立派な研究者でもなく、ただの研究者の卵程度です。
そのため、本当に優秀な人でない限り、研究者としての就職は難しいです。(そもそも研究者という職業が美味しいということでもありませんが)
当然、研究職以外の職業の場合、別に大学院に進学しなくても余裕で就職することができます。
修士課程卒だからこそ就職できる場所というのはほとんど存在しないのです。(少なくとも今私には思い浮かびません。)
実際に自分は今、大手企業に勤めていますが、学部卒や大学院卒関係なく平等に採用されており、その大学名もピンキリです。
もしあったとしてもその辺にある平凡な職業と変わりはないでしょう。
修士卒以上だけが就職することができる、最強にコスパがいい就職先があるのなら進学を検討してみる価値はありそうですが、現状そんな就職先は存在しません。
MBAホルダー(経営学修士)ですら、特に役に立たないと思っています。
MBAを獲得したからといって、彼らの就職先はコンサルティングファームやその他大手企業が多く(参考資料)、そのような就職先は別にMBAがなくても就職できるからです。
コンサルティングファームの場合は、MBAを持っている持っていないに関わらず、面接におけるフェルミ推定やケース面接、そしてジョブ(インターン)の結果が全てであるため、肩書きは何の役にも立たないでしょう。
以上の理由から、就職口の広がりという観点では、修士卒の意味はほとんどないに等しいです。
生涯賃金が大幅に下がるから
大学院に進学する意味がない理由の2つ目は、社会人デビューが2年遅れるにも関わらず、給料は学部卒と比べてもそれほど上がることないため、生涯賃金が大幅に下がるからです。
これもなかなか痛い内容です。
自分が勤めている会社の場合、院卒は学部卒と比べて月に2〜3万円ほど給料は高くなっていますが、たったそれだけです。
コンサルティングファームや投資銀行のような実力主義の会社の場合は、院卒、学部卒に関わらず年俸は同じです。
つまり、院卒であろうが、学部卒であろうが会社からもらえる給料はほとんど変わらないのです。
大学院に行くために大学院試験の勉強を必死にして、さらに2年間と数百万円というリソースを投資したにも関わらず、見返りがほぼゼロだと言えます。
もし、院卒が中途採用レベルで給料が上がったり、いきなり役職が与えられたりすればまだマシかもしれませんが、学部卒とほぼ同じ扱いでは、もはや大学院の存在意義がわかりません。
さらにもっと長い目でみると、大学院に行くことにより社会人デビューが2年も遅れるわけなので、自分が稼げる生涯賃金もがっつり減少します。
例えば、学部卒は平均年収600万円で40年間働くとした場合、院卒は(月に2万円多くもらえるので)平均年収624万円で38年(40年ー2年)間働くことになります。
この場合、288万円損していることになります。
また、院卒と学部卒の給料が変わらない会社に就職した場合は、平均年収を600万円とすると、院卒は2年間働ける時間が少ないので、1200万円損することになります。
2年間という時間と数百万円というリソースをかけて大学院に行き、さらに毎日研究室にこもって頑張って研究したはずが、資産形成の面では不利にしか働かないのです。
これは悲しいですよね。
研究者になりたいと思っていないならただの時間の無駄であるから
大学院に進学する意味がない理由の3つ目は、大学院は研究者の育成機関であり、研究者になりたいと思っているわけでないのなら時間の無駄であるからです。
大学院はもとより、研究者を育成する機関です。
そのため、なんとなく大学院に行くなんてことは本来ありえないのです。
つまり、大学院に行く理由は「博士課程まで修めて研究者になりたい」以外には存在しないのです。
研究者に興味がある人だけが大学院に進学し、研究者に興味がない人は大学院に行く意味はないです。
何故ならば、大学院という場所は研究者になれるということ以外、これまで話してきたように何のメリットも存在しないからです。
もし、教授があなたを大学院に進学させようとしても、「研究者になりたいか」という明確な判断基準があるわけなので、進学するか否かはすぐに答えは出るでしょう。
大学院に進学しても、研究者になるための教育ばかりされて、それ以外にはほとんど何も得ることはできません。
あったとしても、それはコストに全く見合わないのです。
教授や准教授などはもちろん、大学院に進学するように勧めてきます。
何故ならば、本人が感情的にもっと学問を追求してほしいと思っていることもありますが、それ以上に大学院の進学率を高めることは文部科学省の政策の1つであり、進学率が大きくなれば国からの運営交付金も増えるからです。
教授などは大学側のために、学生を大学院に進学させることが仕事の1つであるわけです。
自分は研究者になりたいのか。
大学院進学を悩んでいる人は、このように自分に問いかけてみてください。
転職活動でも役に立たないから
大学院に進学する意味がない理由の4つ目は、転職活動においては学歴よりも会社での実績やコミュニケーション能力の方が圧倒的に重視されるからです。
転職活動をされた方ならわかるかもしれませんが、転職活動においてはもはや学歴なんてほとんど見られません。
ほんの小さな参考程度にすぎないのです。
新卒の場合はポテンシャル採用であるため、学歴が採用の基準となるのは理にかなっていたわけですが、転職の場合は「即戦力」として採用されます。
そのため、転職活動において重要なのは学歴ではなく、いかに過去に在籍した会社で結果を残しているかどうか、アピールポイントがあるかどうかです。
何故ならば、「学歴」と「仕事ができるかどうか」は必ずしも結びつかないため、当然社会人としての経験があるのなら、仕事での実績を採用基準にします。
このように学歴は、一度社会人になってしまうと、役に立つ機会がほとんどないのです。
まとめ
自分も大学院に進学してしまった身分なので、資産形成の観点から見ると、いかに大学院は意味がないかを痛感しています。
中には助産師(※一部大学)や(予備試験は無理ゲーだとして)弁護士など、大学院に進学しないと就職することができない職業も存在します。
また、「自分はips細胞の研究をするんだ」など、何か明確な目的を持っていれば、大学院は有意義な時間に変わるでしょう。
しかし、今回の記事を最も届けたいのは、特に理工学系の学部生の諸君です。
理系学部に在籍していると、周りには大勢のなんとなく院卒する人たちがいます。
その人たちにつられて、なんとなく「大学院卒はスペックが高そうだから」とか「就職に有利だから」というコスパの悪すぎる理由でホイホイと進学してまうのです。
先ほども言いましたが、研究者になりたければ修士課程ではなく、博士課程まで進学する必要があります。
修士課程で中途半端に卒業すると、あなたの価値は肩書き的には学部卒の人間と何も変わりません。
つまり、取るべき選択肢は「学部卒」か「博士課程修了」のどちらしかないわけです。
修士課程を修めるために大学院に行くのは意味がわかりません。
この点を本記事を通して、しっかり理解しておいてください。
それでは最後にもう一度、結論をまとめておきます。
- 大学院を卒業しても就職先が増えるなんてことはないから
- 社会人デビューが2年遅れるにも関わらず、会社での給料はほんの少ししか上がらないために、生涯賃金が大幅に下がるから
- 大学はもちろん、大学院は研究者育成機関であり研究者になりたいと思っていないならただの時間の無駄であるから
- 転職活動においても大学・大学院名なんかではなく前の会社での実績とコミュニケーション能力の方がはるかに重要であるから
今回の内容については以下の動画でも解説しているので、ぜひご覧ください^^