勝又健太氏著『21世紀最強の職業 Web系エンジニアになろう AI/DX時代を生き抜くためのキャリアガイドブック』を徹底解説【前編】
今回は、勝又健太氏著の『21世紀最強の職業 Web系エンジニアになろう AI/DX時代を生き抜くためのキャリアガイドブック』を徹底解説していこうと思います。
本書は、エンジニア兼エンジニア系インフルエンサーとして活躍されている勝又健太氏が最近執筆された新書ですね。
Twitterのフォロワーが2万人ちょっとで、YouTubeの登録者数が5万人ちょっとですね。
エンジニアをしている方や目指されている方なら、全員知っていると思います。
Web系エンジニアになるための勉強本などは世の中にはあふれていますが、エンジニア業界の全体像やそもそもWeb系エンジニアとはなんぞやということを初心者にもわかるように説明してくれている教科書的な本はこれが初めてじゃないかなと思います。
この本を一冊読んでおけば、エンジニア業界の基本的な知識は全部インプットできると思います。
また、Web系エンジニアという職種の特徴やメリットについて、ほかのSlerなどのエンジニアと比べながら解説してくれているので、よりWeb系エンジニアの魅力を感じることができると思います。
これからWeb系エンジニアを目指そうとしている人は、業界全体の理解を深めるために全員が読んでおくべきだと思います。
今回は、本当は一語一句拾いながら解説していきたいくらい勉強になる本でしたが、そんなことをしていたらアバターくらいの尺になってしまうので、特に重要な箇所だけピックアップしていきながら、ざっと内容を説明していきます。
本書の解説は、前編と中編と後編の3つ分けていきますが、今回の前編では、
- そもそもWeb系エンジニアとは何か
- Web系自社開発企業の特徴
- どのような職種があるのか
などの基本的な知識ついて紹介していきます。
中編では、社会人、学生それぞれでWeb系エンジニアになる方法を話します。
そして最後の後編では、もう少し先のフェーズである
- フリーランスエンジニアになる方法
- Web系エンジニアのキャリア形成
- 今後の技術トレンド
について話していきますので、見逃したくない方は本ブログのBookMarkをお忘れなく^^
Web系エンジニアに関する基本知識
Web系エンジニアとは
Web系エンジニアというのは、この本では「Web系企業で働くエンジニアの総称」と定義されています。
何か特定のスキルを持っている人をWeb系エンジニアというのではなく、とにかくWeb系企業で働くエンジニアであれば、全員がWeb系エンジニアということです。
それでは、Web系企業とは一体どんな企業をさしているのかというと、これも一般的な定義はなくて、本書では、
- インターネットを活用している
- 発注元が存在しない
- スケールさせることを前提としている
- 要件や仕様が変化し続ける
自社サービスを提供している企業と定義しています。
自社サービスを持っていることを強調して、「Web系自社開発企業」と呼ぶこともあります。
この定義でいうと、受託開発をしている企業やWeb制作代行をしている企業はは、Web系企業とは呼ばないことになりますね。
Web系自社開発企業の例
このWeb系企業にはどんな企業があるかというと例えば、
- Amazon
- Apple
が世界的には有名です。
日本でいうと、
- Yahoo Japan
- サイバーエージェント
- メルカリ
- クックパッド
あたりが代表的なWeb系自社開発企業に分類されます。
ちなみに自分が働いていた会社も、Web系自社開発企業に分類されますね。
Web系エンジニアの主な職種
最後に、Web系エンジニアの主な職について代表的なものを紹介しておきます。
バックエンドエンジニア
まず一つ目が、「Webサーバ」上で動作するプログラムを作るバックエンドエンジニアです。
バックエンドエンジニアが、エンジニアの中では最も人数が多い職種になります。
ユーザーからは直接目に見えない、背後にあるプログラムを作る仕事なので、「バックエンドエンジニア」と呼ばれています。
バックエンドエンジニアという呼び方の他には、サーバーサイドエンジニアという呼び方もありますが、バックエンドエンジニアと呼ぶ人の方が業界では若干多めだそうです。
ぶっちゃけどっちでもいいですけどね。
扱うプログラミング言語としては、Web業界ではRuby、PHPが多いですが、サービスによってはPythonやGo、Node.jsを使うこともあります。
フロントエンドエンジニア
二つ目が、ブラウザ上で動作するプログラムを作ることが主な仕事になるフロントエンドエンジニアです。
ユーザーが直接目にするビジュアルの部分を作る仕事であり、デザイン要素もあるし、初学者の人には一番とっつきやすいかもしれません。
実際、駆け出しの人の動向を見ていると、やっぱりフロントエンドエンジニアを目指している人が多い気がします。
フロントエンドエンジニアも大変なのですが、サーバーサイドエンジニアよりも、入社までに覚えなければいけないことが少ないということも、一つの要因だと思います。
扱うプログラミング言語としては、JavaScriptかTypeScriptです。
JavaScriptについては、最近はフレームワークのVue.jsやReactを使って、SPA(Single Page Application)を作るのがトレンドだったりします。
インフラエンジニア
3つ目は、バックエンドエンジニアが使用するサーバーやデータベース、ネットワークなどのインフラを構築したり管理するインフラエンジニアです。
特に、AWSやGCPなどのクラウドを専門にするインフラエンジニアは、クラウドエンジニアと呼ばれたりもします。
以前までは、自社の設備やデータセンターのような場所で物理的にサーバーを構築していたことが多いですが、最近はクラウド上でインフラを構築することが主流になっています。
Googleのような、よほど大規模なサービスやシステムを運用していない限りは、だいたいクラウド上にインフラを構築していると思っても大丈夫です。
そのため、インフラエンジニアと言ったら、ほとんどクラウドエンジニアのことを指していると思っても差し支えないです。
iOSエンジニア
4つ目は、iPhoneやiPadなどのApple製品上で動作するプログラムを作ることが仕事であるiOSエンジニアです。
「iOS」というOS上で動作するアプリを作ることが仕事なので、「iOSエンジニア」と呼ばれています。
バックエンドエンジニアやフロントエンドエンジニアと比べると、かなり人数は少なくなります。
自分が働いていた会社も、iOSエンジニアを採用するのに苦労していて、業務委託の人が抜けてから次のiOSエンジニアがくるまでの間、知識ゼロの人が頑張ってカバーしていました(笑)。
扱うプログラミング言語としては、昔はObject-Cが主流でしたが、今はほとんどの場合、Swiftを使います。
実は、自分は転職活動の時に3つの自社開発企業から内定をもらったのですが、そのうちの一つがゼロからSwiftを使ってアプリ開発できる環境だったので、その会社に行こうかかなり迷いましたね。
iOSエンジニアは人口が少なくて市場価値が高いし、Swiftって名前がかっこいいじゃないですか?
最後まで迷ったのは、結構しょうもない理由なんですけどね(笑)。
結局、サーバーサイドエンジニアとして違う会社に決めましたが、iOSエンジニアとして働き始める世界線も経験してみたかったですね。
Androidエンジニア
5つ目は、Android端末で動作するプログラムを作るAndroidエンジニアですね。
日本のWeb系エンジニアの中では、このAndroidエンジニアが一番人材不足で、なかなかAndroidエンジニアを雇うことができないと嘆いている企業は多いです。
扱うプログラミング言語は、古いシステムの場合はJavaを使っていることもありますが、最近ではKotlinが主流になります。
Web系エンジニアが最強のチート職種である理由
ここまで話してきたWeb系エンジニアという職業が、なぜ最強のチート職種なのかというと、勝又さんはその理由を8つあげています。
- 需要と将来性があるから
- 単価が高いから
- スキルの可搬性が高いから
- ワークスタイルが柔軟であるから
- フリーランス案件が充実しているから
- 他の職種との掛け算が容易であるから
- 未経験からでも簡単にジョブチェンジできるから
- オンライン上で業務が完結できるから
この8つです。
この8つの要素を高いレベルで全て満たしているのは、現時点でWeb系エンジニアだけだということです。
どれもこれもその通りだと思います。
Web系エンジニアに適性があって、ジョブチェンジすることができれば、かなり人生がイージーモードになるのは間違いないです。
Web系自社開発企業の特徴
前編の最後に、Web系自社開発企業の特徴をまとめていこうと思います。
本書では、Sler系の企業と比較しながらWeb系自社開発企業の特徴が紹介されていますが、この両者は全く逆の特徴を持っているという認識を持ってもらって大丈夫です。
そのため、Sler系企業については触れずに、Web系自社開発企業の特徴だけ紹介していきます。
特徴①:最新テクノロジーが主流
Web系自社開発企業の特徴の1つ目は、モダンな最新テクノロジーが主流だということです。
ITの世界は「ドッグイヤー」と呼ばれるように、技術トレンドの移り変わりが激しいですが、特にWeb系の業界はその移り変わりが早いです。
ちなみになぜドッグイヤーというのかというと、単純に犬の成長が人よりも早いからですね。
なぜWeb業界ではトレンドの移り変わりが早いのかというと、新しい技術の方が開発効率や使い勝手がいいからです。
それに加えて、Web系自社開発企業の中では、優秀なエンジニアの発言力が強い傾向にあって、そのエンジニアが新しい技術を使いたがるからですね。
企業としては、優秀なエンジニアには出来るだけ長く会社にいてほしいと思ってるわけなので、優秀なエンジニアの要求は人質を取っている誘拐犯並みに通りやすいのです。
特徴②:開発用マシンはMacが主流
Web系自社開発企業の特徴の2つ目は、開発用マシンはMacが主流だということです。
Web系エンジニアの大半は、開発マシンとしてMacBookを使用しています。
特にMacBook Proを使っているエンジニアが多いです。
正社員の場合は、入社するときに大体は会社側でMacbookを用意してくれますが、フリーランスの場合は自分のパソコンを持ち込むことが多いです。
なぜ、Web系エンジニアの大半がMacbookを使っているのかというと、一つの理由としては、Web業界で標準的に使われているOSであるLinuxと、macOS のベース担っているBSD系UNIXのコマンドやツールがほぼほぼ共通していて使いやすいからです。
そのため、これからWeb系エンジニアを目指す人は、特別な事情がなければ、WindowsではなくMacBookを購入した方が無難です。
どうせ会社で使うのもMacBookになるだろうしなるし、何よりもネット上にある記事や書籍では、Macbookの開発環境を前提として話が進む場合か多いからです。
MacbookはWindowsと比べると、若干お金はかかりますが、Macbook以上に投資対効果が高いものはないので、スタバでかっこよく作業していることを想像しながら、迷わずに購入するようにしましょう。
特徴③:外部ディスプレイが供給される
Web系自社開発企業の特徴の3つ目は、外部ディスプレイが供給されることです。
Webエンジニアは、エディタを開いて、いつでも検索できるようにGoogleも開いて、クライアントツールも開いてと、とにかく色々な画面を行ったり来たりしながら作業するので、ノートパソコンだけでは正直かなりきついです。
ノートパソコン1台でもできなくはないですが、いちいち画面を頻繁に切り替えないといけないので、生産性はかなり低くなります。
そんため、通常は外部ディスプレイがあらかじめ会社の方で1つか2つほど用意されていることが多いです。
自分がいた会社でも、MacBookだけでなく、外部ディスプレイを2つ支給してもらえました。
デュアルディスプレイの人が多いですが、トリプルディスプレイで作業している人もいます。
個人的には、エンジニアの仕事をするなら、正直外部ディスプレイは二つはほしいところですね。
特徴④:設計とプログラミングの両方ができるエンジニアの価値が高い
Web系自社開発企業の特徴の4つ目は、設計とプログラミングの両方ができるエンジニアの価値が高いことです。
受託開発の場合は、要件や仕様がかっちりと決まっているため、その通りに開発して納品すれば報酬がもらえますが、自社開発企業の場合は、サービスをユーザーに使ってもらってお金を払ってもらわなければ収益を得ることはできません。
そのため、とにかく早くサービスやアプリをリリースしてユーザーからのフィードバックをもらって、「仮説→検証→改善」のサイクルを高速に回す必要があります。
このような事情があるため、特にスタートアップ企業では、膨大な時間をかけて完璧に近い設計を行うというよりは、とにかく動くものを早く作ってリリースすることの方が圧倒的に重視されます。
そのため、早くプログラミングがコードが書けるだけでなく、不具合が出ないようにしたり、開発効率が落ちないような設計を行う力をもつエンジニアの価値が高くなるというわけです。
特徴⑤:エンジニアの立場が強い
Web系自社開発企業の特徴の5つ目は、エンジニアの立場が強いことです。
Web系自社開発企業には、もちろんエンジニア以外にも、人事の人や企画を行う人、総務の人など色々な職種の人がいます。
その中でも、エンジニアは実際にプログラミングをしてWebサービスやアプリを作ることができて、サービスの根幹を支えているという点で、自ずと立場が強くなります。
サッカー部や野球部で、上手い奴の立場が強くなるのと同じですね。
どんな組織でも、その組織への貢献度が大きい人の立場が強くなるのは当たり前です。
しかも、最近のIT人材不足も合わさって、特に優秀なエンジニアの発言力は社内でもかなり強くなる傾向にあります。
Web系エンジニアに、Macbookや外部ディスプレイが支給されたり、自由な髪型、髪色、私服が許されたり、リモートワークがしやすいことも全部、エンジニアのわがままが通りやすいことが要因だと言えます。
自分がいた会社でも、他に企画チームなどがいましたが、はたから見ていても、エンジニアには頭が上がらない感じでしたよね。
特徴⑥:アジャイル型の開発が主流
Web系自社開発企業の特徴の6つ目は、アジャイル型の開発が主流であることです。
Sler系の企業の開発スタイルが「ウォーターフォール型」であるのに対して、Web系自社開発企業の場合は、「アジャイル型」の開発スタイルを採用していることが多いです。
ウォーターフォール型とは、システムの開発を「基本計画」「外部設計」「内部設計」「プログラム設計」「プログラミング」「テスト」という工程に分けて順に段階を経て行う方法です。
前の工程には戻らない前提であることから、下流から上流へは戻らない水の流れにたとえてウォータフォールと呼ばれています。
アジャイル型開発というのは簡単にいうと、機能の開発からリリースまでのサイクルを短期間で繰り返していく開発スタイルですね。
ウォーターフォール型よりもアジャイル型の方が優れているということではなく、Web系自社開発企業は出来るだけ早くリリースして、PDCAを高速に回すことが重要になるので、アジャイル型の開発スタイルの方がマッチしているだけです。
特徴⑦:年齢層が若い
Web系自社開発企業の特徴の7つ目は、年齢層が若いことです。
日本でWeb開発が広まり始めてからまだ20年くらいしか経っていなくて、Web業界全体の歴史がそもそも浅いということもあり、Web系自社開発企業で働く人の年齢は比較的若い傾向にあります。
Sler系の企業では、50代でも現場でバリバリ働いているということがありますが、Web系自社開発企業ではそのような光景は滅多に見ることができないです。
Web系エンジニアの年齢は、だいたい20代〜30代が中心になります。
自分が働いていた会社も、40代のベテランエンジニアさんが2人いただけで、残りは全員20代と30代前半しかいなかったですね。
特徴⑧:フレックスタイム制を導入していて自社内で開発することが多い
Web系自社開発企業の特徴の8つ目は、フレックスタイム制を導入していて自社内で開発することが多いことです。
下請けのSler企業では、客先に常駐して開発することが多いですが、Web系自社開発企業ではほとんどの場合、自社オフィス内で開発をすることになります。
企業としては、出来るだけ優秀なエンジニアをリクルーティングしたいと思っているので、オフィス環境は良好であることが多いです。
自分が働いていた会社はインフルエンサーマーケティング関連の会社で、Instagramerがよく会社にミーティングに来るということもあって、社内はかなりインスタ映えするデザインになっていました。
あと、就業時間については、Sler系企業とは違って、コアタイムを決めて勤務の開始時間と終了時間を自由に決められる会社が多いです。
ついでにいうと、裁量労働制を採用している会社も多いですね。
特徴⑨:東京に一極集中している
Web系自社開発企業の特徴の9つ目は、東京に一極集中していることです。
地方に住んでいる人にはちょっと残念なお知らせですが、Web系自社開発企業のほとんどは東京に集中していて、東京以外の都市ではその数はかなり少なくなります。
もちろん、大阪や福岡にも本社や支社があったりはしますが、それでも東京と比べると数が極端に少なくなるので、Web系エンジニアとしてキャリアをスタートさせたい人は、東京に一度上京した方がいいです。
実際に求人数を見てみても、東京と東京以外では、案件の数が全然違うということがすぐにわかると思います。
まとめ
ここまでで、勝又健太さんが執筆した『21世紀最強の職業 Web系エンジニアになろう』の前半について紹介してきました。
前半では主に
- Web系エンジニアとは何か
- どんな職種があるか
- どんな働き方か
などの、基本的な全体像についての話になりました。
中編では、それらの知識を踏まえて、「Web系エンジニアになる方法」について話します。
そして、最後の後編では
- フリーランスエンジニアになる方法
- Web系エンジニアのキャリア形成
についてまとめていこうと思います。
中編と後編に関する記事は以下にまとめているので、是非ご覧ください^^
本記事の内容は、YouTubeでも解説しているので、動画の方も是非ご覧ください^^
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