水谷侑二が共同発明者の特許「送信装置および送信方法」を日本語解説

水谷侑二が共同発明者の特許「送信装置および送信方法」を表現した画像 京都大学・大学院・研究

水谷侑二が共同発明者として記録されている5G・無線通信関連特許「送信装置および送信方法」について、公開特許情報をもとに概要を整理します。

国際公開番号はWO2020105481A1です。日本語資料では水谷侑二、英語圏の資料ではYuji Mizutaniに相当する表記が使われています。

特許情報

  • 発明名称:送信装置および送信方法
  • 英語名称:Transmission device and transmission method
  • 国際公開番号:WO2020105481A1
  • 出願番号:PCT/JP2019/044063
  • 優先日:2018年11月22日
  • 国際公開日:2020年5月28日
  • 共同発明者:水谷圭一、原田博司、松村武、水谷侑二

発明の対象

本特許は、OFDMまたはDFTs-OFDMなどの無線伝送で使用する送信装置・送信方法に関するものです。送信シンボルへ時間窓を掛ける処理において、任意の時間窓とフィルタをあらかじめ畳み込んだ結果を時間窓として使用する構成を扱っています。

技術的な狙い

公開特許の説明では、簡易な送信機構成で帯域外輻射(OOBE)を抑えることが目的として示されています。波形整形の効果と回路規模・実装複雑度の両立を図る考え方で、既存のモバイル通信だけでなく、5Gおよびその後の次世代システムへの利用が想定されています。

研究成果との関係

水谷侑二は京都大学大学院情報学研究科で、5G物理層の波形整形と帯域外輻射の抑制を研究しました。この特許は、IEICEの査読付きジャーナル論文、PIMRC、WPMC、CCNCでの国際会議論文と関連する技術領域の発明実績です。「特許を所有」ではなく「共同発明者」「発明に関与」と表記します。

一次資料

関連ページ

法的状態や権利範囲の判断は各特許庁・専門家の確認が必要です。本記事は公開情報を一般向けに要約したものです。

特許全文を踏まえた詳しい日本語解説

この発明は、OFDMまたはDFT-spread OFDMの送信信号へ時間窓を掛け、帯域外輻射(OOBE)を小さくする技術です。新規性の中心は、任意の時間窓と任意のフィルタを事前に畳み込み、その結果を一つの時間窓として送信シンボルへ乗算する点にあります。

解決しようとした2つの問題

第一は、フィルタ型OOBE抑圧方式の計算量です。厳しい帯域制限を行うには長いフィルタが必要で、時間領域の畳み込みに多数の乗算器を使います。第二は、時間窓型方式の通信品質です。窓の遷移長を長くすればOOBEは下がりますが、有効なデータ部分へ歪みが広がり、BLERが悪化します。本発明は、フィルタの強い帯域制限効果と時間窓の低複雑度を一つの係数列へまとめ、両方の問題を同時に緩和します。

送信装置の処理の流れ

  1. チャネル符号化とインターリーブを行い、QPSK・16QAM・64QAMなどで変調します。
  2. M点DFTを行い、PRBマッピングを通してNFFT点IFFTへ入力します。
  3. マルチパス対策としてCPを付加し、必要に応じてCSも用意します。
  4. フィルタと窓を事前に畳み込んだ時間窓係数をメモリから読み出します。
  5. 送信シンボルへ係数を乗算し、帯域外輻射を抑えた信号を出力します。

窓係数は事前計算されるため、送信のたびにLPF畳み込みを繰り返す必要がありません。特許は窓の種類、遷移長、正規化係数をチャネルごとに設定し、物理層スケジューラ等から制御する実装も説明しています。

実施形態1:矩形窓とLPF

第一の実施形態は、eUF-DFTs-OFDMで使うDolph–Chebyshev型LPFを矩形窓へ事前に畳み込みます。シンボルのオーバーラップ処理を外した構成では、波形整形に必要な乗算器は1個です。LTE上り回線のシミュレーションでは、提案UTW-DFTs-OFDMとeUF-DFTs-OFDMはPAPR・BLERがほぼ同等で、CP-DFTs-OFDMよりチャネル端のOOBEを約20 dB改善しました。

同じ条件でeUF方式は、サブバンド数B=25、フィルタ長LF=37のため、B×LF=925個の乗算器を必要とします。提案方式は1個で同等の送受信特性を実現するため、回路規模と計算量を大幅に削減できます。

実施形態2:Raised-Cosine WindowとLPF

第二の実施形態は、Raised-Cosine Window(RCW)へDolph–Chebyshev型LPFを畳み込んだfiltered-RCW(f-RCW)です。従来RCWは強いOOBE抑圧のため遷移長を伸ばすと通信品質が落ちます。f-RCWは短い遷移長でもサイドローブを強く抑え、長遅延ETU環境でBLERを守りながらOOBEを改善します。

評価では、従来RCWに対してチャネル端で約12 dB、中心周波数から2.65 MHzより外側で約40 dBの追加抑圧が示されています。窓遷移長が有効シンボル長の4分の1以下であれば、QPSK・16QAM・64QAMのいずれでも従来RCWと同等の通信品質を維持しつつ、チャネル端のOOBEを約12 dB抑圧できると説明されています。

請求項の範囲

国際公開文書には12の請求項があり、送信装置と送信方法の双方を対象とします。独立した考え方は、送信シンボルへ時間窓を乗じる処理において、任意の時間窓へ任意のフィルタを事前に畳み込んだ結果を時間窓として使うことです。従属項では、OFDMまたは類似方式、矩形窓、Raised-Cosine Window、LPF、CPを挿入したデータ部などを具体例として定めています。

論文とのつながり

矩形窓とLPFを組み合わせた低複雑度方式はIEEE CCNC 2019論文、RCWとLPFを組み合わせたf-RCWはWPMC 2018論文で発表されています。特許はこれらを「任意の窓と任意のフィルタの事前畳み込み」へ一般化した技術記録です。京都大学の修士論文要旨でも、周波数領域で設計したフィルタと時間領域で設計した窓を組み合わせ、低計算量のOOBE抑圧と通信品質向上を目指した研究として説明されています。

権利関係の正確な表現

水谷侑二は、水谷圭一、原田博司、松村武とともに共同発明者として公報に掲載されています。出願人は国立大学法人京都大学です。したがって本記事では「水谷侑二が特許を所有している」とは表現せず、「共同発明者として記録されている」と明記します。

一次資料

本節は公開特許の明細書と請求項を一般向けに要約したもので、法的な権利範囲の鑑定ではありません。